北海道・知床半島沖の観光船沈没事故で、約120メートルの海底に沈んでいる観光船「KAZU1」の調査を行うために『飽和潜水』と呼ばれる特殊技術で行われています。
今回はあまり聞いたことのない『飽和潜水』について調査してみました。
飽和潜水とは?
飽和潜水士の資格は?
飽和潜水士の年収は?
などについて出来るだけわかりやすくまとめてみました。
是非、最後までご覧ください。
飽和潜水とは?
それでは、『飽和潜水』とは何?ということで調べてみました。
スキューバダイビングなどの一般的な潜水はおおよそ30~40メートルまでで、訓練を受けた海上保安庁の特殊救難隊の潜水士でも作業可能な水深はおおよそ60メートルと言われています。
それ以上の水深を潜水して、作業ができるようにするために必要になる特殊技術が『飽和潜水』ということです。
知床半島沖で沈没している観光船「KAZU1」は水深約120メートルの所で発見されているので飽和潜水を行うわけですね。
知床の観光船事故、「飽和潜水」で船内捜索へ 圧力は地上の13倍https://t.co/RydQxV1HU7
北海道の #知床半島 沖で沈没した観光船「KAZU I(カズワン)」の船内を民間の潜水士が「#飽和潜水」で捜索するため、作業台船「#海進」で準備が進んでいました。午前9時39分撮影です。(航) pic.twitter.com/qEmmpmjAJc
— 朝日新聞 映像報道部 (@asahi_photo) May 19, 2022
飽和潜水がなぜ必要?
潜水で一番問題とされるのが『水圧』です。
水圧は深さ10メートル増すごとに約1気圧増加していきます。
地上は1気圧なので120メートル潜水すると13気圧になり、地上の13倍の圧力がかかることになります。
水深100メートルぐらいになるとペットボトルがペチャンコになるほどで、人間の肺は10分の1に縮むとのことです。
気圧に潜水士が耐えられるように気圧を変えられる「船上減圧室」という特別な部屋で徐々に体を慣らしてから潜水する方法を『飽和潜水』というのです。
乗員乗客26人を乗せて遭難した知床遊覧船の観光船「KAZU I(カズワン)」が発見されたのは、光が届かない水深約120メートルの海底でした。海上保安庁の潜水士にも困難だった高い水圧下での活動には、「飽和潜水」と呼ばれる特殊技術が使われます。#飽和潜水https://t.co/1lqQ0Ynnrt pic.twitter.com/jIiEBBgL4C
— 日経ビジュアルデータ (@nikkeivdata) May 19, 2022
潜水士は「船上減圧室」で1日かけて加圧をして体を慣らしていきます。
日本サルヴェージが運用している深深度潜水対応の「飽和潜水装置」です。最大作業深度は300m。装置は高圧居住チャンバー(DDC)、潜水作業用チャンバー(SDC)、避難用高圧チャンバー(HRC)、呼吸用ガス再生装置、潜水用温水供給装置、DDC用環境制御装置などで構成されています。 pic.twitter.com/qNqNbTA2SP
— 日本海事新聞写真部 (@kaijiphoto) September 6, 2019
作業終了後は約1週間かけて地上の気圧に体を慣らします。
飽和潜水したあとに、地上の気圧に慣れるまでに長い時間を必要とするんですね。
海上自衛隊の隊員が飽和潜水について説明しています。
飽和潜水士の資格は?
『飽和潜水士』という資格があるのかを調べてみました。
すると、飽和潜水士という資格はありませんでした。
なので、飽和潜水で作業をする人は潜水士の国家資格を持っているということですね。
ちなみに、素潜りなどの潜水器を用いない潜水は免許不要です。
潜水士の受験資格は年齢、学歴等に制限はなく誰でも受験できます。
飽和潜水を行う場合、潜水士の資格はもちろんのこと、過酷な訓練とスキルが必要になります。
清水海上保安部所属の巡視船おきつでは、2名の #潜水士 が潜水士勤続3年を迎え、第三管区海上保安本部長から表彰されました。
これは多年にわたり潜水士としての使命感を持ち、幾多の危険かつ困難な業務に従事してきた功績を称えるものです。
おきつ潜水士はこれからも #静岡 の海を守ります! pic.twitter.com/a7qRgP7KPu— 海上保安庁 (@JCG_koho) May 20, 2022
飽和潜水士の年収は?
飽和潜水士はかなり過酷な職業であることがわかりましたが、はたして年収はどれくらいなのか気になりますよね。
観光船「KAZU1」の行方不明者捜索を行っているのは民間企業の『日本サルヴェージ株式会社』で主業務は海難救助と海洋工事です。
この会社の年収目安を参考にしてみました。
- 25才:470万円
- 30才:630万円
- 35才:730万円
公務員である海上自衛隊の飽和潜水士の年収も調べてみました。
510万円~670万円ほどでした。
さらに、年1回行われる飽和潜水の特別訓練に参加すると100万円~200万円の手当てがつくようです。
サラリーマンの平均年収が約460万円と言われているので、それよりは高額ですが危険を伴う過酷な職業にしては少ないようにもかんじますね。
飽和潜水をわかりやすく解説!飽和潜水士の資格や年収についても調査 まとめ
今回は、『飽和潜水をわかりやすく解説!飽和潜水士の資格や年収についても調査』についてまとめてみました。
- 海上保安庁の特殊救難隊の潜水士でも作業可能な水深はおおよそ60メートル
- それ以上の潜水して作業するには飽和潜水の特殊技術で行う
- 観光船「KAZU1」は水深120メートルで発見されているので飽和潜水で捜査する
- 水深120メートルでは13気圧の圧力がかかる
- 潜水士が気圧に慣れるように1日かけて「船上減圧室」という特別な部屋で徐々に圧力を加圧して体を慣らしてから潜水する
- 飽和潜水士という資格はなく、国家資格の潜水士が必要
- 危険と過酷な職業にしてはそれほど給料は高くない
今まで、あまり聞くことのなかった『飽和潜水』でしたが、少しは飽和潜水について参考にしていただけたでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。